黒を以て白を制す
「おはようござ……」
「うわ…。安久谷が来た」
出社した途端、挨拶よりも先に嫌悪の眼差しを浴びる。泣きっ面に蜂。きつい。今までも酷かったけど、萌と揉めた件で更に嫌われたみたいだ。
歩けば睨まれ、座れば悪口を浴びせられ、挨拶をすれば無視される。お昼休憩のランチや共同作業でする会話は私だけハブ。
ざっとらしく私は居ないものとして人数に入れなかったり。お前のここがダメとかここがうざいとか悪口が書かれた嫌がらせの手紙を渡されたことなんかもあった。
勿論、揚げ足取りは朝飯前。少しでもミスがあると飛び付いて、信じられないくらい責め立てる。
極め付けは仕事の邪魔だ。伝言を伝えなかったり、間違った情報を寄越したり、入力し終わったデータを消したり、書類を差し替えたり、来客があっても追い返したり。
おいおい。やって良い事と悪い事の区別も付かないのか。あなた達、社会人でしょうが……と少しだけ思う。
そこまでされてしんどくないのか?って正直しんどいよ。いちいち落ち込んでたら相手の思う壷だと無視しているが悲しいものは悲しい。
私にだって心はある。平気な顔をしているからって傷付いていない訳じゃない。