黒を以て白を制す
現に萌だって皆の前では悲劇のヒロインぶってるけど、嫌がらせをされている私を見て楽しそうだ。
『会社辞めればいいのに』とか『萌ちゃんイジメんなよ。ムカつく』とか言ってる他の社員と一緒になって『やだ怖い~。先輩たち強い~』ってクスクス笑ってる。
囲まれてキーキーと。ボス猿と子分か。隕石を落としてやりたい。
本当に怒ってやっているなら、本当に傷付いてやっているなら、まだ許せる。感情が抑えきれなくてやるならまだいいよ。それはただの喧嘩だから。
だけど、それを楽しんでしまったら、それはもうただの嫌がらせであり悪意だ。どれだけ言い訳を並べたって無駄。『私は悪くない。あいつが悪い』なんて台詞は喧嘩のときにしか通用しない。
もう。これじゃ、どっちが悪役なのか分からないじゃない。見方を変えたら、イジメられてる私の方が悲劇のヒロインじゃないかと思えてくる。
悪役にしたくせに悪役はやらせて貰えない。矛盾してる。悲劇のヒロイン兼、悪役になってしまってることに本人たちはまるで気付いていない。