黒を以て白を制す


 「仲良いね」

 「あ、伊那君」


 今城さんと喋ってる最中、伊那君に声を掛けられて振り返る。あれから2週間経った今。私と伊那君は飽きることなく毎日晩御飯を一緒に食べている。


 お陰で親密度がじわじわと上がり、ついには流れで伊那君の家にまでお呼ばれされるようになった。


 ただ、行っても一緒に食事をするだけでラブな展開は全くない。交互に料理を振る舞い合って喋るだけ。


 【料理を作る】
 【食事を楽しむ】←
 【帰る】

 の3択のみ。恋愛要素は皆無。


 勿論、食事だけでも楽しい、全然楽しいけど……。おいおい、このゲーム恋愛イベントはないのか?難易度高すぎでしょ!と少しだけ思う今日この頃。


 安久谷桑子、25歳。少しだけ明るくなった悪役ライフを楽しんでます。


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