黒を以て白を制す
そうよ。私は変わってやるの。絶対に変わるの。変わってやるんだ。変わってやんぞ。変わって……。
「聞いてるのかぁぁぁぁっ!」
「はいっ!」
血管を浮かび上がらせながら怒鳴る部長に飛び上がりそうなくらいビビる。
やばい、やばい。頭の中の世界にトリップしてた。過去の色んな事を思い出してダーク桑子と化してた。お説教中なのに。
いや、しかし、部長のお説教は全て頭に入っている。頭の中の世界と現実の世界、異なる2つを同時進行で進んでいけるのは私の唯一の長所だ。
「お前はいったい、どうするつもりだァァァァァ!」
「作り直します」
「間に合わんだろ!」
「間に合わせます!」
ぶちギレてる部長に負けじと言い返す。そんな全力投球でキレなくても……と思うが、大事な資料が消えてしまったんだから彼が怒るのも当然だ。
数日掛けて作った資料だったし。本当にどうしようと私だって焦ってる。データも運悪く消えてしまって残っていない。残っていないからこそ、慎重に取り扱わなきゃいけないものだった。
あぁ、もう……。こんなことなら萌に任すんじゃなくて私が部長のデスクに置きに行っていれば。そうすれば、こんな事態に陥っていなかったのに。
だとしたら私のミス?言い方が悪かったのかな?伝わりにくかったとか?
何だか部長のお説教を聞いてるうちに自分が悪かったのかなって気がしてきた。こうなった原因は私にもあるのかなって。