黒を以て白を制す
マウント取りまっしょい
「今日もまた夜にね」
「うん」
ついに長かった冬が終わり春が到来してから早1ヶ月。あの告白は冗談じゃなかったらしい。
伊那君とはラブラブだ。怖いくらいに順調も順調。ほぼ毎日のように家に行って、週末は泊まったり外に出掛けたり、普通の恋人同士らしく過ごしてる。
付き合うまで指1本触れて来なかった伊那君も、関係が変わってからは普通に触れてくるようになった。もう我慢しなくていいよね?って胸キュン漫画みたいに。
その度に自分の中の黒い部分が溶かされていく気がする。真っ白な色と混ざって淡く柔らかく。しかし、相変わらず私は伊那君に触られる度にあたふたしている。
だって、こう意識すると積極的に動けなくなると言うか。仕草1つでも見られてると思うと無性に緊張したりなんかして。以前は何とも思わなかった小さいことにまで意識が飛んでしまう。
それもこれも何もない期間が長すぎた所為もあるのかも知れない。深い関係になっても焦り倒してる私を見て伊那君は毎日楽しそうだけども。
そして意外なことに私に恋人が出来たと知って妹がめちゃくちゃ喜んでた。珍しく子供の頃みたいに抱きついてきて『やったじゃん、お姉ちゃん。頑張ってるんだね』と、いつもの毒舌を封印して微笑んでた。
妹は妹なりに姉の人生を心配してたらしい。そういう可愛いところがあるから妹は憎めない。普段は毒舌が凄いけど。