黒を以て白を制す
「はいはい。言いたいことは分かりました。苦情なら聞いてあげますから言ったらどうですか?」
「あんたなんかに聞いて欲しくないわ!」
「じゃあ、悪口も聞こえない場所で言ってもらえます?」
「そんなのドコで言おうとあたし達の勝手でしょ。勝手に聞いて勝手に話に入って来ないで」
「じゃあ、言うのをヤメてくれません?耳障りなんで」
「煩い!ムカつく。あんたほんとムカつくわ!」
「どの辺りが?」
「全部よ!」
煽るだけの状態になっているのは分かるが止められない。ああ言えばこういうの勢いが凄すぎて。しかし、私も大概だが彼女たちも大概だ。かなり一方的。1つも折れないつもりだ。
私よりどうにか上に立ちたくてしょうがないんだろう。意地でも負かしてやんぞ!と必死だ。勝ち負け関係なく上も下もないのに。
だから、彼女たちはたとえ負けても『私たちは勝った』と言う。勝ったのは人数だけであなた達、途中で尻尾を巻いて逃げたでしょうが、と思うが『あいつは負けた。勝ったのは私たち』と言い続ける。
果たして勝ったの定義とは?と終いには聞きたくなるくらい、人数多けりゃ嘘も平気と勝った勝った言いまくる。いや、勝ちは勝ちでも言ったもん勝ちの方じゃんかとツッコミたい。
何だかもう、あれを見ていると1人相手にゾロゾロ仲間を引き連れて挑んでくるやつって、負けても勝ったとホラを吹いて貰うために連れて来てるのかな、とさえ思えてくる。
同調して欲しい、負けるのが怖い、援護して欲しい、協力して欲しい……と他にも色々あるんだろうが、1番の理由はそれじゃないの?って。
何より1番意味が分からないのは、何もしてない、その場に居たのかどうかも分からないやつに『私はあいつに勝った。イジメてやった』と自慢気に言われることだ。誰あんた?ドコに居たの?何がしたいの?と思う。
自分のランクを1つ上げるために他人を利用して、嘘までぶっ込んでまで得た勝ちに、無理やりもぎ取ってまで得た勝ちに、いったい何の価値があるのか。
毎度、絡まれて敗北を強請られる側は堪ったもんじゃない。無視をしようが相手をしようが1つ揉め事を放り込まれると、次々にトラブルが起きていく。
トラブルがトラブルを呼ぶと言うより、トラブルの原因を放り込んだ人が更にトラブルをこちらに寄越して来る感じ。トラブル発信器、トラブル起こし名人。またはトラブル開発メーカーだ。彼女たちは。