松之木学園♥生徒会執行部
「よし。じゃあ、彼を生徒会のメンバーとして迎え入れよう」
「ってことで決まりで」
「それはわかったけど〜。誰が澤田君を呼びに行くの?」
「んー、迷うねー。来て欲しいと言って素直に来るタイプでもなさそうだし」
「あ、だったら、ここは公平にくじ引きで決める?」
それまで黙って事の成り行きを見守っていた小春が棒の入った丸い筒を長机の真ん中に置いた。
白いテープが貼られた棒の中に一本だけ赤いテープが張られた【ハズレ】の棒がある、普通のスタンダードなくじ引きだ。
代々、生徒会メンバーが使用している物で、担当者を決めるときや役割などを決めるとき、話し合いで決まらない事柄があれば積極的に使っている。
正しくは赤いテープが【アタリ】なのだけど。くじ引きを使うときって大概『引き受けたくない』って理由ですることが多いから。いつしか赤テープの方が【ハズレ】と呼ばれるようになった。
実際、私達も美化活動だったり、風紀当番だったり、そういうのを決める際に何度か使った。
使ったからこそ、ただ一人苦笑いを浮かべる。
「そうだね~。くじ引きで決めよっか」
副会長の颯があどけない表情でふんわりと笑う。
彼は運が良くこの手の物ではハズレを引いたことがない。
だから今回も白くじを引く気でいるのだろう。
それは他のメンバーだって同じ。自分は白テープだと疑いもせず、クジを引きもする前から同情するような顔で私を見てきた。
その顔をしていないのは逃れたい気持ちでいっぱいの颯と、何も知らずに提案してしまった小春だけ。
他は皆、自分は当たらないと信じて疑わない。
私も同じく。
半ば覚悟を決めてくじの棒を掴む。