松之木学園♥生徒会執行部
「せーのっ!」
颯の掛け声で皆が一斉に棒を引く。
周りを見渡せば目に映るのは白、白、白。白いテープの棒だけ。
あぁ、やっぱり……と嫌な汗をかきながら恐る恐る自分の手もとを見れば、残酷なまでに輝く赤いテープの棒が。
「あぁ…。おかえり、赤テープ。また会ったね。もしかして君は私専属の棒なのかい?」
「うわー。お疲れ様、菜々……」
「やっぱり菜々か」
「何と言うかまぁ……。本当にくじ運がないね」
堪らず棒に話し掛けた私の肩を叩きながら、生徒会のメンバーは気まずそうに苦笑いを浮かべる。
何を隠そう私、松戸菜々の最大の悩みはあり得ないくらいのくじ運のなさ。前回もこれで人気のなかった【庶務】の役を引いた。
事情に気づいた小春が「ごめん、菜々ちゃん!」と申し訳なさそうに謝る声が、微妙な雰囲気の漂う生徒会室に響いた――。