松之木学園♥生徒会執行部
「確かにココはいい場所ですね」
「あぁ。だから早くどっか行けよ」
「そうですね。一緒にどこかと言う名の生徒会室に行きましょう」
「行くかよ。一人で行け」
「ところで澤田君」
「あん?」
「おでこに光が当たってレーザー銃で狙われている人みたいになってます」
穴の開いたカーテンから光が差し込んで澤田君のおでこの真ん中を照らしている。それを思わず素直に教えてしまった私を澤田君は「うぜぇ」とゴミでも見るような目で見た。メチャクチャ嫌そうな顔を浮かべちゃって。自分の感情を臆することなく出す人だ。
「消えろ」
「だから幽霊じゃなくて生身の人間だって何度も言ってるじゃないですか」
「そういう意味じゃねぇ」
「マジックでも無理ですよ?鳩を出すことくらいしか出来ません」
「鳩は出せるのかよ」
「はい。正月の集まりのときの出し物で親戚のおじちゃんに教えて貰いました」
こうやってこう!と鳩を出すマジックの物真似をする私に、澤田君は僅わずかに興味を持った表情を見せる。
うん。用務員のオジサマから教えて貰った澤田君の変わり種好きは本当らしい。珍しい雲とか、山から遊びにきた動物とか、偶然の産物で出来た人工物っぽいものとか、日常と違うものを見つけてはパシャパシャ写メを撮っているんだとか。マジックだって結構、好きな部類なのだろう。悪くない反応だ。
「どうやって出すんだよ」
「付いてきてくれたら教えます」
「またそれか。しつこいなー」
「コンロにこびり付いた焦げよりもね」
「ドヤるな。反省しろ」
腰に手を当て得意げに顎を上げた私に澤田君は呆れたような表情を浮かべてくる。あしらわれている感が半端ない。しかし、結構攻めたことを言いまくっているわりには空気が穏やか。まだキレられていない。