松之木学園♥生徒会執行部
そっか。昨日の澤田君の微妙な反応の理由はこれか。確かにこれじゃ肩身が狭いよね。教室に居るのも嫌がるはずだ。1人、納得したような気分になって『うんうん』と頷く。
「知らなかった。まさか澤田君がクラスメートからイジメられていたなんて……」
「違うつーのっ。勘違いすんな!」
恐ろしいくらいの地獄耳。ポツリと呟いた私の声を拾ったらしい澤田君は、凄まじい勢いで立ち上がり、厳つい顔をこちらに向けてきた。
途端にラメを辺りにばら撒いたようなキラキラのエフェクトが私の脳内に掛かる。うん。今日も顔が良い。状況を忘れてついつい見惚れてしまうくらいに。
廊下を歩いていたギャルの先輩達も「えー、あの子カッコ良くない?」と、話しながら後ろを通り過ぎていった。
しかし、澤田君は不機嫌。本当のことを言われて恥ずかしかったのか、私を成敗する勢いでイスを倒し、廊下に飛び出てくる。
「菜々、お前……」
「はい。私が来たからにはもう大丈夫ですよ。澤田君」
「あ?」
「ちょっとあなた達、いくら澤田君が最低最悪なバチクソヤンキーだからって!クラス全員で仲間外れにするなんて酷いじゃないですか!」
傍に寄ってきた澤田君を背中に隠し、怒りをむき出しにしながら3組の生徒の前に出る。クラスメート達はポカーンとした顔で惚けているが許さない。そう息巻く私の頭を澤田君がチョップする。