松之木学園♥生徒会執行部
「だから違うって言ってるだろ!」
「何が違うんです?集団無視をされて落ち込んでたんでしょう?」
「落ち込んでねぇし、されてねぇって」
殴った私の頭をぐしゃぐしゃに撫でまわしながら、澤田君はイジメられている話を必死に否定する。
教室に入ろうとしていた私の体を廊下に押し戻して「どうどうどう」と、馬でも落ち着かせるように背中まで叩いて。
「お前はホント優しいのかアホなのか」
「甘いですよ。澤田君。ここはキッチリ怒らないと」
「アホか。怒ったら余計にビビらせちまうだろ」
「はい……?」
「こいつらはただ、俺の機嫌が悪いと思って気を使ってくれてただけし」
「ん?澤田君の怒りが静まるのを皆で見守ってたってことですか?」
「そうだよ。さっき授業中に襲撃を食らってイラついてたから」
すっと怒りを消す私に呆れた顔を向けてくる澤田君。確かに不良達が澤田君を狙って押し寄せてくるって噂はチラホラと聞いたことがある。
前も上級生の不良達が授業中に喧嘩を売りに来たとかで問題になっていたし。それにまぁ、凶暴凶悪と名高い澤田君が傍に居ると委縮してしまう気持ちも分かる。怒らせてはいけないって思うと思う。
しかし、果たして本当にそうなのか?と疑問。だって実際の澤田君は割と面倒身が良いし、心が広いし、優しい。ふざけ倒しても殴ってこないし、本当は意外と温厚じゃないかと思えてきているくらいだ。ピーコだって懐いているし。
それをクラス全体が一致団結するほど、そこまで怖がる?ただの理由付けで本当はいじめを隠しているだけなんじゃ……と疑う気持ち。