松之木学園♥生徒会執行部



 「無視したところで奴らは諦めないだろ」

 「だとしても外の連中に対して君がキレる必要はないから」

 「俺が行かなきゃ止まらないし」

 「大丈夫。君が行かなくても直に止まるよ」


 怒る澤田君を軽くあしらいながら鈴花は意味深な顔でヘラヘラと笑う。時を同じくしてドアの向こうから、ゴリ山こと体育教師の内山の「貴様らぁぁぁぁぁ!何をやってんだぁぁぁぁ!」と、怒鳴る声が聞こえた。


 ガタイが良く高身長、力も強くて武道は一流、熱血で厳しい、昔ながらの先生って感じの内山先生。不良たちから『親より警察よりゴリ山に見つかる方が嫌』と恐れられている彼のことだ。外のファンクラブの人達のことも徹底的に生徒指導室で詰めてくれるだろう。


 「あ、ちょ、怒らないでくださいって」

 「うるせぇっっ!!来いぃぃぃ」

 「痛たたた!耳はヤメてくださいっ!」


 慈悲を乞う不良達の声がゴリ山の怒鳴り声と一緒に遠ざかっていく。あぁ……。愛でる会の人達。憐れな末路よ。


 「ほら、やっぱりこういう時は内山先生に頼むに限るでしょ」


 それと同時に電子錠が解除され、外に居た颯が生徒会室に入ってきた。腰に手を当てて『えっへん!』なんて台詞が入りそうなポーズを取っている。


 「さすが颯。正義は勝つだね」


 悪い笑顔を浮かべている颯に釣られるように鈴花も悪代官みたいな笑みを顔に描く。


 2人で顔を見合わせながら笑っちゃって、きっと今回の戦犯は彼らに違いない。それも颯のことだから2度と生徒会室に近付かないように上手く頼んでいそうだ。


 「お前ら、ゴリ山を使うのは狡いだろ……」


 皆が訪れた平和に嬉々としている中、ゴリ山の熱血指導の恐ろしさを知っている澤田君は、ただ1人引き攣った顔を浮かべたのだった。



  
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