松之木学園♥生徒会執行部
「すみません。嫌です。直接、本人のところに行ってください」
「あ?俺の頼みを断るつもりかテメェ」
「はい。あなたに付き合っていたら、この後の授業に遅れますし」
ぱっと視線を地面に落とし、怒りだしたツンキーの横をそそくさと通り抜ける。許せツンキー。この後の授業は英語。遅れた日にはミセス優子(英語教師)からのキツイお仕置きが待っている。
この間やられたお仕置きは英語のリスニング耐久150分コースだった。今回はきっと単語学習300問コース、正解するまで帰れません、だ。それだけは避けたい。
「待てコラ。逃げんなや!」
「待ちません。あっち行って」
「あ?偉そうに何様だよ、テメェ!」
「菜々様です」
しかし、ツンキーはしつこい。急いで廊下を歩く私の後を同じ速度で追いかけてくる。すれ違う生徒が変な目で見ているのに全くお構いなしだ。私が頷くまで引かない勢い。
「更衣室に着きましたけど?」
「ふざけんな!この俺様にここまで手間を掛けさせやがって!」
「あのね、だから最初から無理だと言ってるじゃないですか!」
更衣室のドアの前に着き、引く気のないツンキーと軽く言い合い。中から出てきたクラスメートが気まずそうに目を瞬かせ、再びドアの奥に引っ込んでいく。それでもツンキーは一向に退こうとしない。ドアの前に突っ立って、まるで更衣室の門番。