松之木学園♥生徒会執行部
「へぇ…」
私の話を聞いて一応は敵だと認識したんだろう。澤田君は低い声で呟きながらツンキーと距離を詰めていく。でたな。ヤンキー特有のオラオラ詰め。
「やっと姿を現したな!澤田ぁぁぁ!」
澤田君から視線を頂戴したツンキーは溢れ返った喜びを隠そうともせず、瞳をギラギラに輝かせて舌なめずりをする。
テンション高く叫んじゃって、散歩中の犬を見掛けた子供のよう。嬉しさのあまり、さっきまで丸まっていた背中がシャキッと伸びている。尻尾の幻影まで見えそう。私の存在も綺麗さっぱり忘れている。
「誰だっけ?」
「俺の顔を忘れたかぁ!澤田ぁぁ」
「うん。覚えてねぇ」
ハイテンションに叫びながら反復横飛びみたいなステップを踏み出すツンキーに、澤田君は冷めた眼差しで素っ気なく言い返す。
しかし、落ち着いていようが無かろうが皆と気になるポイントは変わらない。一度、顔に向いた視線は流れるようにツンキーの頭の方へ。やっぱり澤田君もそこは気になるらしい。他の生徒だってそうだ。横を通りすぎる度にツンキーの頭を一瞥していく。