松之木学園♥生徒会執行部

　「校長。必死ですね」


　それに反応したのが広報の六香(むつか)慶彦(よしひこ)だ。男のわりには髪が長くヨーロッパの国々に居そうな中性的な顔立ちをしていて、いつも纏うオーラに薔薇を背負っている。


　「そりゃそうよ。澤田君の親御さんからも“しっかり指導して欲しい”って頼まれたんだもの」

　「なるほど。その要望を叶えるのを条件に彼の親御さんから多額の寄付金を頂いた、ってことですね」

　「そ、そんなこと……」


　ズバリと真相を言い当てられ、校長はわかりやすいくらいギクリと肩を揺らす。


　何と言っても慶彦自身も大企業の息子。将来がきっちりと補償された御曹司である。他のメンバーは「寄付金？何それ？」って感じだけど、慶彦はその辺の事情について詳しい。


　彼は長い髪をサッと手で払うと「澤田君家の財力はバカにできないからなぁ」と、無駄に高い鼻をツンと上げて笑った。


　慶彦いわく“澤田君は我が校、随一の寄付金を収める財閥の坊ちゃんで、学校の運営の一端を任されている校長としては貴重な収入源を失いたくないと必死なのだろう”ってことだった。


　校長は隠したがっているが、こうなってしまったら最後。話は全て筒抜けだ。