松之木学園♥生徒会執行部
「平気?」
「はい」
「そっか」
「え、トキめいておくべきです?」
「アホか。トキめかんでいい」
「ありがキュンと澤田キュン、どっちの方が好みです?」
「どっちも要らんわ」
何だか気恥ずかしくなって指でハートを作った私を軽くあしらい、澤田君は余裕綽々に小さく笑った。あれー?ラブイベントが起きた?私にもついに怒涛の春キュンが?なんて、ちょっとワクワク。
しかし、再び澤田君の顔を覗けば涼しい顔だ。視線は真っ直ぐツンキーに向いている。
おのれ。ツンキー。邪魔だー。と腹が立ったが、ツンキーの血走った目が思いの外、殺気立っていたので口を閉じる。
「毎度、毎度、不意打ちをかましやがって!狡いんだよっ」
「お前が相手じゃ不意をつくまでもねーだろ」
「ああん⁉バカにしやがって。次こそぜってぇ泣かしてやる」
「へー。それは楽しみだ」
「正々堂々と勝負しろ」
絶対に不意を突かれた訳じゃないのに、ツンキーは恥ずかしさからか澤田君を卑怯者呼ばわりしながら決闘を申し込む。たった今、この場で負けたのにだ。既にワンパンで払い除けられて転げまわっている最中なのに、懲りるどころか勝ちにいこうとまでしている。
「チャレンジャーですね。原谷君」
思わず顔を引き攣らせ、真剣なトーンでツンキーにツッコむ。
「おうよ。諦めたら負けだ」
ツンキーは応援された気分にでもなったのか、鼻を指でこすりながらキリっとした厳つい顔を浮かべた。この男、無謀と言うか本当にバカな男である。