身代わり同士、昼夜の政略結婚
「羨ましい、ですか?」

「わたくしは、お姉さまとレしかかぶらないもの。場所も違って、お揃いの感じがしないでしょう?」


そうですね、と頷いてはくれたものの、アステルは何を言われているのか分からない顔で混乱している。


ごめんなさい、わたくしは実のところ、思いつきを話しているわ。

何でもいいのよ。あなたが笑ってくれたら、内容は何でもいいの。


「空に浮かぶ星の瞬き、月の輝きを、オルトロスの人々は、ル、という音で表したのでしょうね」


きっと、綺麗なものに、ルという音が当てられるのだわ。

国名にもルがあるもの、神聖な音、荘厳な音、うつくしい音なのでしょう。


「そうかも、しれませんね」

「ええ、きっとそうですわ」


にっこり笑って見せたのに、まだ足りない。


まだ痛みを堪えるような顔をしているアステルに笑ってほしくて、とびきり子どもっぽいことを言った。


「アステル、わたくし、今気づいたのだけれど」


こそ、と声をひそめる。


「アマリリオとオルトロスで、しりとりできます。ご存知でした?」


これには堪えられなかったらしい。ぶふ、と吹いたアステルが、次の瞬間、お腹を抱えて笑った。
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