【シナリオ】離婚を決意したはずが、スパダリ社長の独占愛によって離してはくれません!
第1話【プロローグ】
⚪︎家【夜】
高級住宅街にある白が基調の二階建ての一軒家。
リビングのテーブルには六條光寿【ロングヘアに、美人】と六條南都【センターパートの髪、スッと通った鼻筋と薄い唇、キリッとした目が特徴的の絶世の美青年】が向かい合い、テーブルの上には記入済みの離婚届がある。
光寿「お願いします。離婚してください」
光寿が離婚を申し出るとは思っていなくて南都は驚いている。
南都「……どういうこと? 光寿ちゃん」
光寿「言葉の通りです。だって、南都さんは、私のこと異性として見てはいないでしょう?」
南都「……俺、なんかした?」
光寿(きっと南都さんは子供の癇癪だと思っているかもしれない。南都さんの声色と話し方が子供を宥めるようだった)
光寿「南都さんは何もしてません。私たち、結婚して一年です。それなのに、私たち夫婦の営みも何もないじゃないですか」
光寿(……そう、一年だ。一年たっているのに南都さんに触れられたことなんて手を繋いだりハグだったり軽いキスだけで中学生なみだ。中学生だってもっとしているかもしれない。まだ、結婚して一ヶ月だったら破廉恥だと思っていたけれど……そんな時期は超えている)
光寿「南都さんには感謝しています。父が残した借金返済も肩代わりしてくださり、会社も助けてくださりました。お義父様に聞きました。父に恩があるから私と結婚したかったことを」
南都は唖然として一瞬言葉を詰まらせる。
南都「……何を言っているんだ」
光寿「もう無理をしないでいいんですよ。だから、もう我慢しないでください」
光寿は離婚届の上にペンを置いて、再度離婚をお願いしようとする。
南都は溜め息を吐き、立ち上がる。
南都「……じゃあ、我慢しないでいいってことだよね?」
光寿「えっ」
驚いた表情で固まる光寿。
南都「俺はね、光寿ちゃんの気持ちが俺に向くまでは触れないと誓っていた。だが、君が『我慢しないでいい』と言うなら話は別だ」
光寿「えっ、今じゃなくて……心の準備が」
南都「今、光寿ちゃんが望んだんだよ。だからご要望通り、夫婦の営みをしようじゃないか」
南都は艶っぽい表情に大人の色気を纏って光寿を見た。
南都「光寿ちゃんが煽ったんだから」
光寿(なんだか、南都さんいつもと違う!)
南都は光寿の顎をグイッと上げる。
南都「……覚悟してね、光寿」
南都は余裕の笑顔で光寿に微笑んだ。
光寿は二年前のことを思い出す。
⚪︎回想【光寿の実家,光寿の部屋】
光寿の部屋。外をぼんやりと見る光寿。
光寿(私と南都さんの出会いは、二年前の春。まだ肌寒い日が続いていた頃だ。)