【シナリオ】離婚を決意したはずが、スパダリ社長の独占愛によって離してはくれません!
第3話【絶望の始まり】



⚪︎居間【昼】


《葬式が終わった数日後》


外は雨が降っている。
居間には、光寿と寿樹。向かい合って女性で二人の父方の伯母・薫子(かおるこ)【五十代で目付きがキツい】が座っている。


薫子「光寿ちゃん、寿樹くん。今回は大変だったわね」

寿樹「薫子伯母様、ご無沙汰をしております。来てくださり、ありがとうございます」

薫子「当たり前じゃない。私はあなたたちのお父さんの姉なのだから」


光寿(薫子伯母様は手を合わせてくれたけど、お父様を嫌っていたはず。なぜ来たのかわからない。どうしてだろう……)


薫子「あなたたちも可哀想に……亡くなったお父様の代わりに借金を返すことになってしまったなんて」


突然の言葉に二人は驚く。


寿樹「……借金? 借金とはどういうことですか?」

薫子「知らなかったのね? 本当に可哀想。借金はね、私たちの父……あなたたちからしたらお祖父様の代からある借金のことよ。今、一生懸命返しているところだったんじゃないかしら。返済が間に合わなくて借金を重ねてしまっていてね」


光寿は声が出なかった。だが、寿樹は冷静に薫子の話を聞く。


寿樹「それはいくらなんですか?」

薫子「確か……500万のって聞いたわ」


バカにした表情をした薫子。


薫子「でも、そんなお金この家にはないでしょう? だからとっておきの提案があるの」

寿樹「提案、ですか?」

薫子「それは、光寿ちゃんが結婚することよ」


光寿は黙っていたが、その言葉に反応する。


光寿「……え?」

薫子「お金持ちの男性がいてね、後妻を望んでいるのよ。お金も返済してくださるし、会社の経営も援助してくださるそうよ」


光寿は黙り込むが、寿樹は薫子に対し大きな声で反論する。


寿樹「それは、光寿をお金で売るということですか?」

薫子「まぁ、そうなるかもしれないわね。でも、光寿ちゃんは恋人もいないのでしょう? なら、いいじゃない。それに家のためよ。全て解決するわ」


寿樹は反論するが、光寿は今までわがまま言って来たことを思い出す。


光寿(お父様が守って来た会社を守りたい……!)


光寿「伯母様、わかりました。今まで、私は父に甘えていました。だけど、私がその方と結婚することで父の大切にし守ってきた会社を守れるのなら守りたい。だから、その結婚お受けします」

薫子「懸命な判断ね。先方に伝えるわ」


薫子はさっさと帰っていく。


寿樹「光寿! どうして!」

光寿「私は守りたいの。それに、お見合いするつもりだったしいいのよ」


光寿は寿樹を説得し、最後には寿樹は光寿に謝る。

《その数日後、伯母様からワンピースが送られてきた。お見合いで着るようにというメッセージ付きで》



⚪︎料亭・花月【昼】


歴史ある建造物を現代風にリノベーションした料亭で、年代物の貴重な器や美術品に彩られた趣のある店内。
仲居に案内されて到着した金盞花の間という名の個室。


薫子「光寿ちゃんは美人なのだから笑って頷いていればいいのだからね」


光寿は緊張していると、仲居が中年のお男性を連れて入ってきた。




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