ひとつ屋根の下、先生とヒミツの研究 (短)
架千先生は、たまに、こうして「獣人の自分は好き?」って聞いてくる。
その度に「嫌い」と言ってるのに、今日も言ってくるなんて……。
そりゃ先生は、研究対象が存在してくれてハッピーだったかもしれないけどさ。
私には、ただの有難迷惑でしかないから!
だって――
「半獣人の私を、受け入れてくれる人なんて……いないでしょ」
「翠々香……?」
「あ」
しまった、口が滑っちゃった。
もう、先生が変なこと言うから……っ。
「じゃあ、いってきますっ」
そして、今度こそ家を後にする。
外に出た瞬間、少し温かくなった気温の中、たまに冷たい風が吹きこんでいた。気持ちいい、晴れ渡った朝。
初めは慣れなかったけど、少し山の奥にある小さな家に、二人きり。
未成年の私が先生と住んでいても、ここなら誰かに見つかる心配もない。見つかったら、色々大変だもんね、主に先生が。