ひとつ屋根の下、先生とヒミツの研究 (短)
先生とにらめっこ
*先生とひらめっこ
「……ん」
カタカタと、電卓を叩く音で目が覚める。
前の先生はキーボードをしきりに打っていたのに、いまじゃ、いつも数字とにらめっこ。
電卓をたたいては、ペンで何かを書き、低く唸って、紙をグシャグシャに丸める。
「なに、してるの……?」
「っ、翠々香」
持っていたペンを放り投げ、私が寝ている隣の部屋まで、すぐやってくる。
私のおでこに手をやって、私の顔色を伺って――何も問題なさそうだと分かれば、安心したように柔らかく笑った。
「体の調子はどう?」
「もう、大丈夫。少し眠いだけ」
「そっか。水を持ってくるから、ちょっと待ってて」
スッと立ち上がった先生の格好。
……学校で私を助けてくれた時と同じ服を着てる気がする。
でも、スマホを見ると二日の時が経ってる。
まさか先生、お風呂にも入らず、着替えもせず……?
「はい、どうぞ」
「……」