ひとつ屋根の下、先生とヒミツの研究 (短)

「発情期の可能性があると分かった時、同時に願ったよ。間違いであってほしい、と」

「……」


架千先生は、獣人の研究者なのに。いいの?
そんな事いっちゃってさ。

研究対象が新たなステージに入ったんだから、素直に喜べばいいのにさ。

……ダメだ。

口を開くと、先生に八つ当たりをしそう。先生に怒ったところで、どうにもならないのに。


「ところで、あのアイスはなんですか?」


グイッと。
袖で涙を拭き、口に水を含んだ。

威勢のいい私を、少し安心した目で先生が見つめているのが分かる。

その証拠に「あれは俺の手作りだよ」と語尾が上がった。


「あれを食べると体の熱がおさまって、寝ちゃったんですけど……。先生の手作りって聞いて、一気に不安になりました。

まさか怪しいクス、」

「俺を誰だと思ってるの。世界中で有名になった、元天才研究者だよ?」


変な誤解はされたくないらしい。先生が食い気味で訂正を入れた。
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