ひとつ屋根の下、先生とヒミツの研究 (短)
「紛らわしい……。先生、急に顔つき変わるの止めてくれませんか」
「え、なにか変な顔してた!?」
先生はショックを受けるも、「憎まれ口をたたく元気はあるみたいだ」と。安心したように、私の頭をなでた。
ぽんっ
うさ耳のない今、私の頭はなでなでし放題だっていうのに。この先生ときたら、一度なでて終わるだけ。
「むぅ」とふくれっ面する私に、先生は困ったように笑った。
「ほら、もう少し寝てなよ。次に翠々香が起きるまでに、何か作っておくから」
「……オムライスがいいです」
「ふっ――、了解」
パタン
「……また、男の人の顔」
自分が発情しちゃったからかな。
今までの先生の顔とは「違う顔」に見える時が多くなった。
……こんな風に、これからも、どんどん変わっていくのかな。
私の「当たり前」だったことが、どんどん崩れていって。
いつか、普通の生活が送れなくなっていくのかな。
それってさ、なんだか……すっごく、こわいよ。