ひとつ屋根の下、先生とヒミツの研究 (短)
一途な研究


*一途な研究




「もうずっと前に出したんだよ――辞表をね」

「今日の門出は翠々香、君なんだよ」


って。

そんなこと言われても分からない。

先生が何を言ってるか、全く分からないよ。


「……っ、」

「混乱してる?」

「しないわけ、ないでしょう……?」


眉間に皺を寄せると、先生は眉をわずかに下げた。

「じゃあ」と。

ゆっくりした動作で、桜の木の下に腰を下ろす。


「花見をしながら話そうか。

俺と翠々香が出会った、三ヶ月前のことを」



✲*゚


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