ひとつ屋根の下、先生とヒミツの研究 (短)
2人の結果
*2人の結果
「コレを」――そう言って渡されたのは、小さな小瓶だった。
本当に小さな。私が握りしめても、隠れてしまいそうなほど小さな小瓶。
「これは……?」
「翠々香が人間に戻れる薬。
大丈夫、怪しい薬じゃないから」
ふっ、と。笑った先生の顔に、私はまた泣いてしまった。
私が今、握りしめている小瓶。この小さなものに、先生は寝る間も惜しんで、研究に研究を重ねてきた。
目の下にクマを作り、ご飯を抜く回数も増え……それでも、私が学校に行く時は、必ず「行ってらっしゃい」と言ってくれる。
そんな優しい人が作ってくれた物を、
「怪しい、なんて。思うわけないじゃないですか……っ」
と同時に、確信する。
そこまでして先生が作った物だからこそ、絶対に失敗はないって。それが分かっちゃうから、泣いてるんだよ。