こんな雨の中で、立ち止まったまま君は
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コンビニのある駅から二駅目に、俺の住んでいるアパートがある。
駅を出ると、店同士がぎゅうぎゅうと肩を寄せ合って建ち並ぶ。
三階建てほどの小さな雑居ビルがほとんどで、
入っているテナントの大半が古着屋か大衆居酒屋だ。
ビル自体は俺が生まれる何年も前からここに建っているのだろう。
どれもが古びていて、亀裂の走るビルなんかもある。
どのくらいの年数が経っているのかなんてことは、もちろん知るはずもないし、興味もない。
ただ、看板の文字は目まぐるしく変わる。
ティッシュやビラ配りの人間に、5メートルの間で3人につかまる。
生き残りをかけたそんな戦いの跡は、
朝になると道路の上に虚しく散らばっているのだが。
高層ビルは無いけれど、人口率はそれなりに高い。
大学のある駅から4駅、都心にも乗り換えなしで行くことができるこの町は、
アパートの家賃が安い、ということもあって、学生たちに人気がある。
俺がこの町を選んだのも、そんな理由からだった。