こんな雨の中で、立ち止まったまま君は
コンビニでレジを打つ。
今日は午後5時までのシフトだ。
雑誌を片付けながら見る空には、すでに暗闇が迫っていた。
アパートを出るときには明るかった空には厚い雲が広がっていて、
仕事を終えるころには雨が静かに降りてきた。
誰かの置き傘を借りて外に出た。
駅へ続く道の角を折れるときに、後ろを振り返った。
湿り始めた歩道橋は、傘をさして歩く人をのせている。
今夜、彼女は来るだろうか。
ふいに、飯島さんと小川さんの顔が浮かんだ。
床に落ちたコーヒーカップの音が頭に響いたような気がした。
目を閉じて、頭を振る。
二人の顔を追い出すように。