こんな雨の中で、立ち止まったまま君は
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2年前。
一年間だけ、俺は圭吾と同じ大学に通っていた。
圭吾と友達関係になったのは、
授業が始まって一週間ほどが過ぎたころだった。
「あのさ、シャーペンの芯、持ってない?」
圭吾らしいと言えば圭吾らしい。
「1本ちょーだい」がきっかけだった。
たまたまその時隣りに座っていたのが俺だったのだ。
それから同じ授業を受けるときには必ず圭吾が隣りにやってきた。
最初は「慣れなれしいヤツ」程度にしか思っていなかったけれど、
そのうち悪いヤツではないことに気づいた。
お喋りは過ぎるけれど、気持ちのいいヤツだ。
俺の口数が少なくとも、平気でガンガン話しかけてくる。
そんなヤツは珍しかった。
友達らしい友達がいなかった俺は、
それから圭吾とよく行動するようになった。
あのつまらない学生生活のなかで、
それは案外救いだったのかもしれない。
もしも圭吾と出会わなければ、大学をやめた今も、俺はこの町でひとりだったろう。
俺は大学を1年で中退した。
やめるのにこれといった理由もなかったけれど、
それと同じくらい、大学に通う意味もなかった。
本命校ではなかった。
最も、他の大学に受かっていたとしても俺は同じ選択をしていたと思う。
将来のことを考えて…みたいな理由で、
就職に有利になりそうな資格のとれる大学を選んで受験した。
いざ入ってみると、つまらないことばかりだった。
そりゃそうだ。
興味のない授業ばかりなのだから。