こんな雨の中で、立ち止まったまま君は
「お待たせしました」
3つのグラスを運んできたコミヤがそれをテーブルに置いた。
間髪いれずに一つを持ちあげた圭吾が声を張る。
「よし、じゃあ、久しぶりの再会に!」
慌てて奈巳もグラスを持ち上げる。
「再会っていうか、今日はお祝いでしょ」
俺もつられるようにしてグラスに手を伸ばした。
「別にいいのに。こんなことしなくて」
思わず呟いた俺に、圭吾は呆れ顔をしながら
「もっと喜べって、淳」
「そうだよ、すごいことじゃん」
奈巳までも唇を尖らせる。
「ま、わざわざありがとな」
二人の顔を見ながら言うと、
「出版おめでとう、淳!」
「おめでとう!」
俺のグラスをめがけて近づいた二つのグラスが、
カチンっと威勢のいい音を出してぶつかった。