こんな雨の中で、立ち止まったまま君は
日曜の午後の館内には、
平日に比べれば人が入っている。
さっきのような親子連れ、
いかにも本好きそうなおじいさん、
黒人男性、
俺と同じように、時間を持て余している感じの若い男、そして女。
顔ぶれは大体決まっている。
1階奥には観覧スペースが設けられていて、
低いテーブルを囲むようにして古びた茶色のソファが置いてある。
思い思いの本を手にして静かにページをめくるそれらの人々を眺めてから、
俺は「あ」行から順に背表紙を確認して歩いた。
興味のある本は既に読みつくしてしまっている。
なので最近では、
こうして歩きながら、とりあえず目に留まった本を適当に棚から引き抜いているのだ。
思いがけず良作に出会うこともあるけれど、
九割がたは暇つぶし程度にしかならないものばかりだ。
これほどの本が溢れ、
その中にはそれぞれの世界が繰り広げられているというのに、
自分の殻の中に閉じこもったままの俺は、
今の自分の、ちっぽけな世界でしか生きられない。
共感できないのだ。
自分の感受性も、どんどん乏しいものになっているような気がする。
今の生活のように。
俺は一体、これからどうなっていくのだろう。
ずっとこのままなんだろうか。
こうやって歩きながらふとそんなことを思うことがある。
このままならまだいい。
今以上につまらない時間が増えていくとしたら、
そんな時間ばかりを重ねていくことになるとしたら、
それこそ、最期には「暇つぶし」のような人生だった、と呟くことになるんだろう。