こんな雨の中で、立ち止まったまま君は
1章「その人はいつも」
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あの頃僕は、
本当に空っぽだった
何もない日々
何も起こらない時間
何も変わらない自分
流されて
流されて
それが普通だと思いながら
何かを求めることは面倒で
そんな何かを受け入れることも面倒で
もっとも、
求めることそれ自体が、
意味のないことだと考えていた。
そう、
君に出会うまでは――――
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