こんな雨の中で、立ち止まったまま君は
5章「傷つくのは」
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誰もが皆 本当は
傷つきたくなくて
苦しみたくなくて
真実をどこかに葬ったまま
偽りの現実を見ているのかもしれない
もうこれ以上傷つきたくないと
誰かを傷つけることもしたくないと
嘘を繰り返すのかもしれない
そんな嘘が
少しずつ自分を磨り減らしていることには気づかずに
なのに
それでも人を求めてしまうのは
何故なんだろう―――
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