姉の身代わりに
4.妹(3)
☆☆☆
ブレンダン王太子とエリンの結婚式が挙げられた。あの王太子の華やかな舞台ということもあり、国中がお祭り騒ぎに包まれていた。
もちろん、その後の結婚パーティに、リーゼルはオーガストと一緒に出席する。
オーガストは、結婚式の間も、純白のドレスに身を包むエリンを眩しそうに見ていた。その彼の横顔を見たリーゼルは、喉の奥がずくっと痛んだ。
――オーガスト様は、まだお姉様のことが好きなのね。
「素晴らしい式だったな」
帰りの馬車でオーガストが思い出したかのように、そう呟いた。
「ええ、そうですね」
リーゼルは感情を押し殺した声で答えた。
オーガストは眉間にしわを寄せて、リーゼルの顔をのぞき込む。
「リーゼル。何か、あったのか?」
「いえ、何も」
そこで彼は大きく息を吐いた。
驚いてリーゼルは、身体を大きく震わせる。
「リーゼル。君が俺との婚約をよく思っていないのは知っている。だが、君を心配する権利が俺にはあると思っているし、俺としては好きな女が落ち込んでいたら、気になる」
「え」
今、信じられない言葉を耳にしたような気がした。
ブレンダン王太子とエリンの結婚式が挙げられた。あの王太子の華やかな舞台ということもあり、国中がお祭り騒ぎに包まれていた。
もちろん、その後の結婚パーティに、リーゼルはオーガストと一緒に出席する。
オーガストは、結婚式の間も、純白のドレスに身を包むエリンを眩しそうに見ていた。その彼の横顔を見たリーゼルは、喉の奥がずくっと痛んだ。
――オーガスト様は、まだお姉様のことが好きなのね。
「素晴らしい式だったな」
帰りの馬車でオーガストが思い出したかのように、そう呟いた。
「ええ、そうですね」
リーゼルは感情を押し殺した声で答えた。
オーガストは眉間にしわを寄せて、リーゼルの顔をのぞき込む。
「リーゼル。何か、あったのか?」
「いえ、何も」
そこで彼は大きく息を吐いた。
驚いてリーゼルは、身体を大きく震わせる。
「リーゼル。君が俺との婚約をよく思っていないのは知っている。だが、君を心配する権利が俺にはあると思っているし、俺としては好きな女が落ち込んでいたら、気になる」
「え」
今、信じられない言葉を耳にしたような気がした。