姉の身代わりに
5.姉(1)
☆☆☆
「素敵な結婚式だったわね」
「え、それって僕たちの結婚式のこと?」
「あなたとの結婚式は、一年以上も前に終わっているでしょ。リーゼルとオーガストの結婚式よ」
寝台の上で枕を背もたれにしてゆったりと足を投げ出した男女が、楽しそうに言葉を交わしている。
「それにしても。君がオーガストから求婚されたって聞いたとき、あのときは焦ったな」
「ふん。そうでもしないと、あなたが私に求婚なんてできなかったでしょ」
実際のところ、オーガストはエリンに求婚なんてしていない。
ただ彼女がぽそりと『オーガストから求婚されたわ』と、ブレンダンに伝えただけ。そう、彼に嘘をついたのだ。
「それって、オーガストって当て馬だったってこと?」
「さあ?」
「でもさ、二人とも僕が怒鳴り込んでいくのをわかっていたような感じだったよね」
それは、マキオン公爵家のサロンで、エリンとオーガストがお茶を飲んでいたときだった。あれは二人にとっての作戦会議であったのに、そこにいきなりブレンダンが乗り込んできて、オーガストを締め上げた。
「私、オーガストから相談されていたんですもの。リーゼルに告白したいけど、どうしたらいいかって。それなのにあなたが乗り込んできて……だって、リーゼルよ? オーガストからそんなこと言われたら、恐れ多いとか言って断るに決まってるでしょ?」
リーゼルの性格を考えると、そうなることが目に見えている。
「素敵な結婚式だったわね」
「え、それって僕たちの結婚式のこと?」
「あなたとの結婚式は、一年以上も前に終わっているでしょ。リーゼルとオーガストの結婚式よ」
寝台の上で枕を背もたれにしてゆったりと足を投げ出した男女が、楽しそうに言葉を交わしている。
「それにしても。君がオーガストから求婚されたって聞いたとき、あのときは焦ったな」
「ふん。そうでもしないと、あなたが私に求婚なんてできなかったでしょ」
実際のところ、オーガストはエリンに求婚なんてしていない。
ただ彼女がぽそりと『オーガストから求婚されたわ』と、ブレンダンに伝えただけ。そう、彼に嘘をついたのだ。
「それって、オーガストって当て馬だったってこと?」
「さあ?」
「でもさ、二人とも僕が怒鳴り込んでいくのをわかっていたような感じだったよね」
それは、マキオン公爵家のサロンで、エリンとオーガストがお茶を飲んでいたときだった。あれは二人にとっての作戦会議であったのに、そこにいきなりブレンダンが乗り込んできて、オーガストを締め上げた。
「私、オーガストから相談されていたんですもの。リーゼルに告白したいけど、どうしたらいいかって。それなのにあなたが乗り込んできて……だって、リーゼルよ? オーガストからそんなこと言われたら、恐れ多いとか言って断るに決まってるでしょ?」
リーゼルの性格を考えると、そうなることが目に見えている。