姉の身代わりに
6.妹(4)
☆☆☆
小さくて艶めかしい肢体が、オーガストの身体の下にあった。
「リーゼル、愛してる。ずっと、俺の側にいて欲しい」
私も、とリーゼルは言いたかった。だが言えなかったのは、すぐさまその口をオーガストに塞がれたからだ。口づけは今までも何度か交わしたことはある。だが、こうやって互いに裸に合って抱き合うのは今日が初めて。
「今日まで我慢した俺を褒めて欲しい」
オーガストは笑っていた。
心が結ばれたことを知った時から、我慢しなくてもいいと言っていたリーゼルであったが、オーガストは変なところにこだわっていた。だから、二人はまだ一線を超えていない。
今日は初夜。やっと身体が結ばれる。
彼の気持ちを知ったあの日から、リーゼルは胸が張り裂けるような幸せに包まれていた。
エリンは、口は悪いけれども優しかった。それは、リーゼルがマキオン公爵家に来てからずっと。
だから、結婚式には絶対にエリンにも出席してほしかったのだ。
そんな彼女のお腹には、新しい命が宿っている。彼女の身体が安定したころを見計らって、オーガストとの結婚式の日取りを決めた。
それでもオーガストはぶぅぶぅと文句を言っていた。彼としてはもっと早く式を挙げたかったらしい。
『なぜ、俺たちの結婚式なのに、エリンのことを気遣う必要がある?』
『だって。私にとっては大事な姉ですもの。それに、お姉様のおかげで私たちが結ばれたようなものでしょう? そう考えるとお姉さまは私たちの恋の天使のような存在よ』
小さくて艶めかしい肢体が、オーガストの身体の下にあった。
「リーゼル、愛してる。ずっと、俺の側にいて欲しい」
私も、とリーゼルは言いたかった。だが言えなかったのは、すぐさまその口をオーガストに塞がれたからだ。口づけは今までも何度か交わしたことはある。だが、こうやって互いに裸に合って抱き合うのは今日が初めて。
「今日まで我慢した俺を褒めて欲しい」
オーガストは笑っていた。
心が結ばれたことを知った時から、我慢しなくてもいいと言っていたリーゼルであったが、オーガストは変なところにこだわっていた。だから、二人はまだ一線を超えていない。
今日は初夜。やっと身体が結ばれる。
彼の気持ちを知ったあの日から、リーゼルは胸が張り裂けるような幸せに包まれていた。
エリンは、口は悪いけれども優しかった。それは、リーゼルがマキオン公爵家に来てからずっと。
だから、結婚式には絶対にエリンにも出席してほしかったのだ。
そんな彼女のお腹には、新しい命が宿っている。彼女の身体が安定したころを見計らって、オーガストとの結婚式の日取りを決めた。
それでもオーガストはぶぅぶぅと文句を言っていた。彼としてはもっと早く式を挙げたかったらしい。
『なぜ、俺たちの結婚式なのに、エリンのことを気遣う必要がある?』
『だって。私にとっては大事な姉ですもの。それに、お姉様のおかげで私たちが結ばれたようなものでしょう? そう考えるとお姉さまは私たちの恋の天使のような存在よ』