母親代わりの不遇令嬢は、初恋の騎士団長から求婚される
 はっとエリーサが目を覚ますと、見慣れぬ部屋。
「気がついたか?」
 目の前には正装を解いたブロルがいた。
 どうやらエリーサはソファに寄り掛かるようにして眠っていたようだ。
「ここは?」
 まだぼんやりとする頭を抱えながら、ゆっくりと姿勢を正す。
「俺の部屋。辛いなら、まだ休んでいろ」
 辛いのは、ずっと身体を締め付けているコルセットだ。だが、それを目の前の彼に言うべきかどうかで悩んでいた。
「大丈夫か?」
「え、えぇ……。でも、そろそろ帰らないと」
「君の屋敷には使いを出したから心配するな。今日はここに泊っていけばいい。今、部屋を準備しているから」
「そう……。ありがとう……」
「君が素直だと、気持ち悪いな」
 だが、やはりコルセットの締め付けと言うのは、体調のすぐれないエリーサには負担がかかるものだった。意を決してブロルにお願いをする。
「ブロル……。ごめんなさい、どなたか人を呼んでもらってもよろしいかしら? その、ドレスが苦しくて……」
 それを聞いた彼は苦笑した。
「そうか、女性のドレスは締め付けるらしいからな」
 言いながら、彼はエリーサの隣へとすり寄ってくる。
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