何色でもない私をあなた色に染めて
ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…


長くて細い綺麗な指先

時折いい香りがする


真っ直ぐ私を見てるであろう瞳

その視線から私は逃げてしまう


「VANILLA(バニラ)ちゃんお願いしまーす」


カシャッ…カシャッ…カシャッ…


「目線もう少し上にちょうだい」


カシャッ…カシャッ…


「そーそー…

VANILLAちゃん、恋する乙女の表情ください」


新しいリップのイメージキャラクターになった

キャッチコピー『恋する乙女の魔法』

恋する気持ちなんてよくわかんないよ


カシャッ…カシャッ…


「大切な人を想うようなカンジ
そーそー…いいカンジ…
VANILLAちゃんサイコー!」


カシャッ…カシャッ…


「ハイ!チェック」


私の大切な人

その人はカメラの先にいる


「ハイ!OK!
VANILLAちゃんお疲れ様でしたー!
めちゃくちゃ色っぽく撮れた
バニラちゃんの大切な人は
きっと年上だな〜…なんて
18歳の女の子にはセクハラか〜」


18じゃなくても
セクハラじゃない?


「お疲れ様でした」

< 1 / 62 >

この作品をシェア

pagetop