もう、好きにはなりません。


目の前にいるのは、まるでケモノみたいだ。


***


「里奈ちゃん!なにその漫画みたいなお話!素敵すぎ!キュンキュンしちゃうよ!」


「柚ちゃんっ、別にそんなんじゃないよ……」


あれから2週間。


席が近かった柚ちゃんとはすぐに仲良くなり、今まさに悠里について相談しているところだ。


「毎朝向かいに来てくれるなんて、絶対脈アリ!」


「そんなんじゃないってば……」


そう。実はあれから毎朝悠里は、私のアパートの前で待っているのだ。


会っても、私はすぐ逃げるのだけれど。


「まあ、色々あったんだろうけど、少し向き合ってみれば?ゆーりくんと」

ツインテールが似合う、くりっくりの大きい目。この小悪魔みたいな可愛い柚ちゃんに首を縦に振るしかなかった。

***

朝、重たいドアを開けるとそこには、やはり、


「おはよ、里奈」


「あ……お、おはようございます……」
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