もう、好きにはなりません。



バッ


悠里を思いっきり手で押す。


「……な、何してるの……?」


「里奈が俺の事、苗字で呼ぶから。なんで俺から距離取ろうとするの。嫌われてないんなら、別に話しかけてもいいってことだよね」


「私は……私はっ、好きな人と……こ、こういうことがしたかった!最低だよ!青山くんは!」


その場をいつものように走り去った。


手馴れたようなキス。今でも感触が唇に残って離れない。走りながら、涙があふれる。


悠里は、誰にでもこんなことするのっ?


『あんなの、好きなわけねぇじゃん。無理無理、ありえない。お前らもやめとけよ』


悠里にとって、好きでもない『あんなの』に、悠里はキス出来ちゃうのっ?


早く忘れなきゃいけないのに、どうしてこんな嫌がらせしてくるの?


許せない……許せないよっ。
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