もう、好きにはなりません。



上から突き刺さる鋭い視線に、思わず手元に視線を向ける。


悠里は……


「佐山くんは、昔の悠里みたいに優しい人だよ」


「なにそれ、今は違うって言いたいの」


「……うん、だって……昔の悠里は、無理やり……好きでもない人に、キスなんて、絶対にしなかった!」


怖い。なんて言われるんだろう。


そんなことで優しくないとか思ってんの?って、今にも言われそうで怖い。


そう思ってたのに


「えっ?」


急に抱きしめられ、持っていた本を床に落としてしまった。
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