もう、好きにはなりません。



なんで、そんなに悲しそうな顔をしているの?


「俺はずっと里奈が好き。なのに里奈は俺のことが好きじゃないなんて、許せないな」


「……え?」


「里奈、どんだけ俺が里奈のこと好きか知ってる?分かってる?俺、今まで彼女いたことないし、女ともあんまり喋らないの。なんでか分かる?」



そうだったの……?悠里はモテるから、てっきり色んな女の子と遊んでいるのかと思った。


「分からないよ……」


「里奈が好きだからだよ」


真っ直ぐな言葉。私は信じてもいいんだろうか。


でも……


『あんなの、好きなわけねぇじゃん。無理無理、ありえない。お前らもやめとけよ』


あの言葉が脳裏にこびりついて離れてくれない。どれだけ傷ついたか、悠里だって、知らないでしょう?


それでも、目の前にいる人は真剣そのもの。嘘をついているのは思えない。


だって、考えてみれば私の高校まで来て、毎朝私のアパートの前に挨拶をしに来て、これが冗談って言う方が難しい。
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