清くて正しい社内恋愛のすすめ
「……穂乃莉」
加賀見はスマートフォンを握り締めたまま、しばしその場に立ち尽くした。
もしかしたら穂乃莉はプランの説明を終え、一足先に宿泊するホテルに戻っているだけかも知れない。
いやむしろ、そうであって欲しいと願いたい。
でも……。
加賀見がトラブル対応をしていることを知っている穂乃莉が、加賀見に声をかけずに出ていくはずがない。
加賀見は踵を返すと、駆け足でフロントに向かった。
すでに夜勤のスタッフの勤務時間になっているのか、昼間とは違う女性スタッフがにこやかな笑顔で出迎える。
「お客様、どうかされましたか?」
変に焦った様子を見せたら、不審がられるかもしれない。
加賀見は上がった息を落ち着かせて、声を抑えるように口を開いた。
「私はKRSトラベルの加賀見と申します。先ほどまでレストランで原田支配人のディナーに招待されていましたが、席を外している間に、支配人と同僚がレストランを出たようです。今二人がどこにいるか、教えていただきたいのですが?」
加賀見はスマートフォンを握り締めたまま、しばしその場に立ち尽くした。
もしかしたら穂乃莉はプランの説明を終え、一足先に宿泊するホテルに戻っているだけかも知れない。
いやむしろ、そうであって欲しいと願いたい。
でも……。
加賀見がトラブル対応をしていることを知っている穂乃莉が、加賀見に声をかけずに出ていくはずがない。
加賀見は踵を返すと、駆け足でフロントに向かった。
すでに夜勤のスタッフの勤務時間になっているのか、昼間とは違う女性スタッフがにこやかな笑顔で出迎える。
「お客様、どうかされましたか?」
変に焦った様子を見せたら、不審がられるかもしれない。
加賀見は上がった息を落ち着かせて、声を抑えるように口を開いた。
「私はKRSトラベルの加賀見と申します。先ほどまでレストランで原田支配人のディナーに招待されていましたが、席を外している間に、支配人と同僚がレストランを出たようです。今二人がどこにいるか、教えていただきたいのですが?」