清くて正しい社内恋愛のすすめ
「穂乃莉が思うように決めたらいい。俺たちはそれを、全力でサポートするだけだからな」

「課長……」

　その様子を見ていた玲子が穂乃莉の側に駆け寄ると、ギュッと後ろから抱きついた。


「怒っちゃってごめんね……どうしても悔しくて……」

「いいんです。玲子さんが自分のことのように怒ってくれたことが、私はすごく嬉しいです」

　すると玲子は、穂乃莉の隣に腰かける加賀見の頭をわしわしと撫でだす。


「加賀見くん。あんたやっぱりカッコいいね。よくぞ穂乃莉ちゃんを守ってくれたよ」

「え！？　ちょっと、玲子さんやめてくださいよ」

　加賀見が迷惑そうに眉をひそめ、みんなの元に笑顔が戻った。

　花音と卓も顔を見合わせると、穂乃莉の側に駆け寄る。


「東雲の仕事はなくなっちゃったけど、退職まではきっちり仕事しますから」

　穂乃莉は潤んだ瞳のまま笑顔になると、ガッツポーズを見せた。

　すると突然、相田がこちらへ向かってきて、通りすがりに全員の頭を優しくぽんぽんと撫でていく。
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