清くて正しい社内恋愛のすすめ
「は!? 相田くん、何してんのよ!?」

 玲子が照れながら頭に手をやった。

 みんなもキョトンとしながら、もう入り口に向かっている相田の背中に目をやる。

 相田は扉に手をかけたまま、そっと振り返った。


「いや、本当に良いチームだなと思ってさ。穂乃莉も陵介も、石崎も卓も花音も。俺にはもったいないくらいのメンバーだよ」

「課長……?」

 相田の瞳は潤んでいるのだろうか?

 キラリと光るものが見えたような気がした。


「お前ら目一杯、羽ばたけよ! 責任だけは、俺が取ってやる」

 相田はそう言うと、静かに会議室を出て行った。


「課長、泣いてました?」

 卓がぽつりとつぶやく。

「相田くんも、柄にもないこと言って……」

「わぁーん、私、泣きそうですぅ」

 玲子が目じりを押さえ、花音はすでに号泣している。


 穂乃莉も再び目を潤ませながら加賀見を振り返ると、加賀見はほほ笑みながら、穂乃莉の肩を優しく抱いてくれた。


 ――本当に、素敵なチーム……。


 穂乃莉はみんなの溢れる想いを確かに感じながら、ギュッと大事に胸に包み込んだ。
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