清くて正しい社内恋愛のすすめ
 相田は口元を引き上げながら、ぐっと力強くうなずいた。

「いいんですか!? ぜひ……ぜひ進めさせてください!」

 穂乃莉が身を乗り出すようにグッと顔を覗き込ませると、東雲は目を丸くしてから、ぷっと楽しそうに笑い出した。

「あなたは、本当にまっすぐな方ですね」

 東雲の笑い声にその場の空気が和む。

 穂乃莉は頬を赤くすると、肩をすくめてくすくすと笑った。


 ――これで、みんなの努力が報われる。加賀見と一緒に作り上げたプランが、進められるんだ。


 穂乃莉は今すぐにでも、加賀見の所に駆けだしたい気持ちをぐっと堪えながら顔を上げる。

 加賀見はこの話を聞いたら、どんな顔をするだろう。


 ――みんなの前では、意外とクールに装うかな?


 でもきっと、二人きりになったら優しく抱きしめてくれるだろう。

 「良かったな」と言いながら、頭をなでてくれるかも知れない。


 穂乃莉はそんな事を思い描きながら、喜びを嚙みしめるように企画書を胸の前でギュッと握り締めた。
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