清くて正しい社内恋愛のすすめ
 “東雲リゾートホテル”は国内でも有数の五つ星ホテルだ。

 ホテルでありながら大浴場があり、源泉かけ流しの露天風呂付の客室も多数用意されている。

 また館内にはスパ施設も併設されており、高級リゾートホテルとして、男女ともに幅広い年齢層に人気があった。


 母体の“東雲グループ”は、商業リゾート施設の運営をメインにホテル事業も展開しているグループで、その規模は“久留島グループ”に匹敵するほど。

 穂乃莉は、この“東雲リゾートホテル”への宿泊を組み込んだツアーを企画し、以前より何度も営業をかけている。

 しかしホテルの支配人の『ツアー客は、一切受け入れない』という考えの元、いつも門前払いを食っていたのだ。


「“東雲リゾートホテル”への宿泊が入ったプランを打ち出せれば、うちにとっても非常に強みになるからね」

 社長の声に、穂乃莉は両手に力を入れる。

「私もそれが心残りでしたので、ぜひ頑張らせてほしいです」

 穂乃莉の声に相田はにこやかにうなずき返すと、「それで……」と少し伺うような目線を穂乃莉に向けた。
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