清くて正しい社内恋愛のすすめ
――なんなの、あれ……。
白戸はフロアの扉をそっと閉じると、来た道を戻るように静まり返った廊下を歩く。
フロアの中からは、社員たちの興奮した声や、はやし立てる声が漏れ聞こえ、廊下まで響いていた。
「まるで恋人みたいじゃない……」
白戸は下唇を噛みしめながら、エレベーターのボタンを押す。
更衣室の前まで来て重い扉を押し開けると、同じ受付に所属している女性社員が数名まだ着替えをしている所だった。
「あれ? 咲良まだ残ってたんだぁ」
同期のひとりが能天気な声を出し、白戸は軽く相槌をうつとロッカーのカギを開ける。
途端にローズの甘い香りが漂い、無意識に顔をしかめた。
白戸は男性受けのいい、この香りをずっと愛用している。
でも今日ばかりは、むせ返る思いがした。
「今さ、みんなで東雲社長の話してたの。あんなにイケメンで御曹司だよ!? いっそのこと拝みたいくらいだよねって。咲良もそう思わない?」
白戸は同期の声に横目で睨むような視線を送ると、そのまま無言で着替えを続ける。
白戸はフロアの扉をそっと閉じると、来た道を戻るように静まり返った廊下を歩く。
フロアの中からは、社員たちの興奮した声や、はやし立てる声が漏れ聞こえ、廊下まで響いていた。
「まるで恋人みたいじゃない……」
白戸は下唇を噛みしめながら、エレベーターのボタンを押す。
更衣室の前まで来て重い扉を押し開けると、同じ受付に所属している女性社員が数名まだ着替えをしている所だった。
「あれ? 咲良まだ残ってたんだぁ」
同期のひとりが能天気な声を出し、白戸は軽く相槌をうつとロッカーのカギを開ける。
途端にローズの甘い香りが漂い、無意識に顔をしかめた。
白戸は男性受けのいい、この香りをずっと愛用している。
でも今日ばかりは、むせ返る思いがした。
「今さ、みんなで東雲社長の話してたの。あんなにイケメンで御曹司だよ!? いっそのこと拝みたいくらいだよねって。咲良もそう思わない?」
白戸は同期の声に横目で睨むような視線を送ると、そのまま無言で着替えを続ける。