清くて正しい社内恋愛のすすめ
「でもあまりに急だし、失礼があったら……」
「あなたもこちらに戻ったら、そういう機会も増えると思うの。いい経験になると思うわ」
「そんな……相手はどこの会社なの?」
「会社じゃないの。今回はプライベートなのよ。でも、ちょっと重要な相手ね」
祖母の含みのある言い方に、穂乃莉はますます不安にかられる。
「重要な相手じゃ、余計に困るよ」
穂乃莉は戸惑いながら声を出すが、祖母は全く聞き入れる様子はない。
こういう時の祖母は、穂乃莉に反論の余地を与えないのだ。
「夕方に迎えを寄こすから、準備しておいてね。それから……ちゃんと、おしゃれして行くのよ!」
祖母は一気にそこまで言うと、「いつもみたいな、パンツスーツはNGよ」と付け加えながら一方的に電話を切ってしまった。
「ちょっと、おばあさま!?」
穂乃莉は通話終了の文字が表示されている画面を、呆然として見つめる。
「もう! 勝手なんだから」
穂乃莉はしばしスマートフォンを握り締めたまま口を尖らせていたが、しぶしぶ立ち上がると準備をするためにクローゼットを開いた。
「あなたもこちらに戻ったら、そういう機会も増えると思うの。いい経験になると思うわ」
「そんな……相手はどこの会社なの?」
「会社じゃないの。今回はプライベートなのよ。でも、ちょっと重要な相手ね」
祖母の含みのある言い方に、穂乃莉はますます不安にかられる。
「重要な相手じゃ、余計に困るよ」
穂乃莉は戸惑いながら声を出すが、祖母は全く聞き入れる様子はない。
こういう時の祖母は、穂乃莉に反論の余地を与えないのだ。
「夕方に迎えを寄こすから、準備しておいてね。それから……ちゃんと、おしゃれして行くのよ!」
祖母は一気にそこまで言うと、「いつもみたいな、パンツスーツはNGよ」と付け加えながら一方的に電話を切ってしまった。
「ちょっと、おばあさま!?」
穂乃莉は通話終了の文字が表示されている画面を、呆然として見つめる。
「もう! 勝手なんだから」
穂乃莉はしばしスマートフォンを握り締めたまま口を尖らせていたが、しぶしぶ立ち上がると準備をするためにクローゼットを開いた。