清くて正しい社内恋愛のすすめ
東雲は穂乃莉の様子にほほ笑むと、静かに口を開いた。
「穂乃莉さんと、もっと話をしてみたいと思ったんです」
「話……ですか? 仕事のことではなく?」
「そうです。あなた自身の話です。この間、言っていたでしょう? 今の会社に入ったのは、自分の力で働いてみたかったからだって」
東雲の言葉に、穂乃莉はエレベーターの中での会話を思い出し、小さくうなずいた。
「僕は生まれた時から、父の会社を継ぐことが決められていました。それを僕自身も、疑問に思ったこともなかった。だから新鮮だったんです。穂乃莉さんの、そういう考え方が……」
目の前のテーブルには、彩鮮やかな前菜が置かれる。
穂乃莉は、美しい絵画の様に皿に盛られた料理をじっと見つめながら、しばらく口を閉ざすと、ゆっくりと東雲の顔を見上げた。
「私だって同じです。祖母の会社を繋いでいくのは自分しかいないという、プレッシャーの中で育ちました。でもどこかで、自分はそんな器じゃないと、ずっと思っていたんです。だから、外に出てみたかったのかも知れません」
「穂乃莉さんと、もっと話をしてみたいと思ったんです」
「話……ですか? 仕事のことではなく?」
「そうです。あなた自身の話です。この間、言っていたでしょう? 今の会社に入ったのは、自分の力で働いてみたかったからだって」
東雲の言葉に、穂乃莉はエレベーターの中での会話を思い出し、小さくうなずいた。
「僕は生まれた時から、父の会社を継ぐことが決められていました。それを僕自身も、疑問に思ったこともなかった。だから新鮮だったんです。穂乃莉さんの、そういう考え方が……」
目の前のテーブルには、彩鮮やかな前菜が置かれる。
穂乃莉は、美しい絵画の様に皿に盛られた料理をじっと見つめながら、しばらく口を閉ざすと、ゆっくりと東雲の顔を見上げた。
「私だって同じです。祖母の会社を繋いでいくのは自分しかいないという、プレッシャーの中で育ちました。でもどこかで、自分はそんな器じゃないと、ずっと思っていたんです。だから、外に出てみたかったのかも知れません」