清くて正しい社内恋愛のすすめ
「彼はいつも私にヒントをくれるんです。解決のヒント。だから私も、本当の意味で自分の力で仕事ができるようになったら、いつかそんな人になりたいなと思っています……」

 穂乃莉はパッと東雲を振り返り、途端にその真剣な瞳にドキッとする。

「す、すみません。突然、こんな話をして……」

 慌てる穂乃莉の目を、東雲がじっと覗き込む。

 その表情には、さっきまではなかった影が差し込んだ気がした。


「なんだか、嫉妬してしまうな。あなたにそんな顔をさせるなんて……」

「え?」

「あなたの瞳に少しでも僕のことが映れば、と思ったのですが。どうやら僕の入る隙は、なさそうですね」

「東雲さん……?」

 東雲は小さくほほ笑むと、「どうぞ」と穂乃莉に食事を勧め、自分もフォークを口に運ぶ。


 ――どういう意味だろう……?


 穂乃莉はフォークとナイフを手に取りながら、そっと東雲の顔を見つめた。

 東雲は所作の一つ一つがとても綺麗で、見た人の目を一瞬で奪ってしまう。
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